断絶

私はあまりテレビを見ないのですが、この数ヶ月でテレビコマーシャルでびっくりすることがありました。

コマーシャルのバックに流れる曲が、スティービーワンダー、ドゥービーブラザーズ、大瀧詠一プリンセスプリンセス、・・・などなのです。

極め付きは町田義人さんで、これは私たちの年代の人(1950~60年生まれ)でも「聞いたことはあるけど名前は知らない」という感じの人です。

テレビコマーシャルは「何かを売り込む」ためのものでしょうから、プロが購買層を想定して選曲したはずだと思うのです。でも、全部の商品のメインターゲットが我々のようなリタイアした人、もしくは間近の人ではないような商品だと感じたからびっくりしました。では「なぜそういった選曲がされたか?」を考えてみると、「若い人もその曲を『いい曲だ』と感じる」からではないかと思いました。

もしそれが正しいとすると、「なんか寂しいなぁ」と思うのです。

 

私が小学から中学に上がる頃に井上陽水さんの「断絶」というアルバムがヒットしました。タイトル曲の「断絶」は世代間の意識の断絶を歌っていました。

(俺+お前)と(お前の親父)の考え方が相入れないというのです。

 

あの当時(私の親父)世代は井上陽水さんの歌のことをいいと感じていませんでした。

私たちの世代と、親父の世代は(少なくとも歌に関する)感覚が「断絶」していました。

井上陽水さんの歌は「意識」の断絶であり、歌の好みは「感覚」の断絶ですが、今、私自身が年寄りの仲間になって思うのは、若者は、意識の面でも感覚の面でも我々の先を行って欲しいということです。

音楽も考え方も時代に合わせて変化するのが必要のような気がします。

「何が進歩か?」は難しい問題ですが、変化は必要だと思います。少なくとも若者の感性や意識が年寄りと一緒では寂しいと思います。

それなのに、もしも「ドゥービーブラザーズ」っていいよね」などと若者に言われたら寂しい気がします。若い人には若い人の歌があって「年寄りが聞いてる歌は、やっぱり古臭いよな」と言って欲しいのです。

10年ちょっと前に故郷に帰ってきて塾を始めた時、友人たちが「うちの息子がビートルズローリングストーンズを気に入ってる。」とFacebookに上げているのを見て「大丈夫なのか?」と思ったのが全国的に拡散しているとしたらちょっと寂しい。

勿論、「そんなことを言うなら、あなたがピアノ協奏曲を聴いているショパンは江戸時代の人ですよ。」と言われると困るのですが・・・。